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07 5月, 2015

京都工繊大「KYOTO Design Lab東京ギャラリー」オープン&修了作品展レポート

2014年、京都工芸繊維大学に発足したKYOTO Design Labは、今年4月に東京ギャラリーをオープンさせた。こけら落とし的な第一弾イベントとして、「2014年度 建築学専攻・デザイン学専攻修了作品展」を開催。ギャラリーと展覧会のオープニングに行ってきました。

 場所は千代田区外神田にある “3331 Arts Chiyoda” 。


 3331 Arts Chiyodaは元中学校をリノベーションしたアートセンターで、アートギャラリーやスタジオ、工房など様々な団体が運営するスペースのほか、飲食店、ショップ、イベントスペースなどもある。
3331とは江戸一本締めの手締めのリズム。

 2階の1室に4月22日にオープンしたばかりの「KYOTO Design Lab 東京ギャラリー」。
KYOTO Design Lab (D-lab)のコンセプトは、「デザインによる社会変革のために、デザインの実践に直結する方法論を考究する場。世界中から招いた一流のデザイナーや研究者が文化都市・京都に滞在し、さまざまな視点からプロジェクトに協働するパートナーとともに、成熟した都市の再生や、成長する都市の持続可能性、超高齢社会における快適な暮らしの設計のための課題の発見と解決に取り組む。」

 東京ギャラリーはそれらの取り組みを発信する広報機能を持つ。
ちなみに隣には多摩美術大学の「アキバタマビ21」が入居している。

 修了作品展には建築学専攻・デザイン学専攻から選抜された優秀作品が展示されている。


 建築では修了制作5点のほか、卒業制作2点の計7作品。


 〈河渠の累箋/堀子川の河渠とそれに付属するヴォイドと空家の再解釈〉by 吉田卓巨
京都市壬生地域の堀子川。生活や産業に使われなくなった川と、その川辺に点在する空き家を繋ぎ、堀子川を街並みに溶け込む新たな都市モニュメントとして組み替える。

 〈霊園という場の更新〉 by 差尾孝裕
都市では墓地が不足し自らが望む場所で眠るのは困難になっていく。既存の墓地を更新することで次世代に受け継がれる終焉の場を提案。

 〈土木構築物拡張による尾道都市空間再考〉 by 伊藤祐紀
山と海に挟まれた尾道市は海と並行に水平方向に開発されている。消失してしまった山と海を繋いでいた参道を拡張しながら面的ネットワークを構築。

 〈Odoi Hotel〉 by 本岡一秀
豊臣秀吉によって京都に築かれた御土居。現在わずかに残る御土居を観光資源として捉え、御土居の存在を顕在化させる宿泊施設を提案。

 〈円環の風景〉 by 岡本淳樹
大阪府の京大農業跡地は縄文時代から近畿で最初の農業集落遺跡が眠る。ここに古代の農業と未来の農業の風景を繋ぎ止める円環の建築を提案。

 〈Building scape〉 by 倉岡泰大(学部卒業制作)
いち地方都市である鈴鹿市の都市空間の特徴を建築に落とし込み、身体的三次元空間からこの街の人々の記憶や歴史を保全する建築を提案。

 〈畏の坂に実る/葡萄と自転車を通じて自然災害に触れる道の駅〉 by 東琢哉(学部卒業制作)
地滑り等の自然災害が起こりやすい計画地に、人々の自然災害に対する認知を高め、防災・減災できるように意識を浸透させる空間を提案。

 デザインでは修了制作4点。


 〈fliprack〉 by 橘温希
紙と磁石を使ったシステムラック。数年で引越を想定するような生活に於けるテンポラリーな家具だが、十分な強度と利便性を備え、リサイクル(或いは廃棄)も容易。

 〈ビリビリジョウギ〉 by 久山格
紙を裂いて楽しむ工作セット。紙を裂くときのビリビリという感触を楽しみながら、型に沿って裂かれた紙を様々に組み合わせて工作を楽しめる。

 〈Geoph〉 by 三田地博史
3Dプリンターによる立体地図とGPSを組み合わせた登山用デバイス。立体地図データを元にプリントされた地形とGPSを組合せ、登山の際立体的に現在地を把握できる。

 〈視覚に刺激を与える表現方法/ “プロッタ画” の開発〉 by 深地宏昌
デジタル操作でアナログ質感を生み出す “新領域” の開拓。デジタルデータをペンプロッターによって直筆描画するという、デジタルからアナログに変換する新領域の視覚表現。

(※紹介した全ての作品は、出品者及び京都工芸繊維大学がその知的財産権を保有しており無断で模倣することはできません。
Each designer and Kyoto Institute of Technology retain the intellectual property rights in all the works introduced here. Reproduction or imitation of these works without written permission is strictly prohibited.)

KYOTO Design Lab 所長(ラボ長)の小野芳朗教授。
「京都工繊大が遂に東京へ進出です(笑)。ようやく東京にも発信拠点を持つことが出来ましたので、ここから全国へさらに世界へと発信していきたいと思います。」
「京都という都市は、伝統を継承しながらも新しいものを呼び寄せ、イノベーションを誘発する多様性に富んでいます。本展での作品はそれぞれが問題意識を持って取り組んだ意欲作ばかりです。地球規模で考えながら京都という場でしか掴み得ない能力を磨く、私たちの実践の成果をじっくりとご堪能ください。」

【2014年度 建築学専攻・デザイン学専攻修了作品展】
日時:2015年4月22日〜5月24日/12:00〜19:00(月・火休廊)
場所:KYOTO Design Lab 東京ギャラリー/3331アーツ千代田203号室


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