japan-architects.com

11 10月, 2017

萬代基介、中山英之 + 砂山太一、猪熊純「紙のかたち展2」by 竹尾

竹尾見本帖本店で10月6日から開催の「紙のかたち展2 ふわふわ、ごろごろ、じわじわ」に行ってきました。
萬代基介、中山英之 + 砂山太一、猪熊純の3組の建築家が「紙のかたち」をテーマに作品を制作。企画・ディレクションは中﨑隆司、グラフィック・会場構成は田久保彬。


2015年の「紙のかたち まるめる、かさねる、ひっぱる」に続く「紙のかたち」展シリーズの第2弾。


「ふわふわ」「ごろごろ」「じわじわ」という言葉が浮かぶそれぞれの表現を通して、新しい紙の可能性を探る。


〈ねり紙 - ふわふわ〉 萬代基介
紙を手で "ねる" ことで形を自由に作れる粘土のような紙。


和紙に細い針金が漉き込んである。(会場限定で1枚1,500円で販売もしている)




捻ったり、つまんだり、曲げたり、何かに押し当てて型を取ることもできる。


萬代基介さん「何でもできるので沢山作ってしまいました。会場にはサンプルもあるので実際にねってみてください。」


〈かみのいし - ごろごろ〉中山英之 + 砂山太一
紙の主な用途は印刷物とパッケージ。印刷と立体。それならば、と伝えるべき情報や、包むべき商品がない、ありふれた石をスキャンして印刷し、展開図を工夫して立体にしてみた。


6種類の石は高精細に撮影し、25面体に分解。それを組み立て可能なように展開図に落とし込んだ。


実際にスキャンした石はこんなにも小さい。
右は組み立てキットで、会場限定販売18,000円。


日常の中に石を置いてみた写真も。


中山英之さん(右)、  砂山太一さん(左)
「はじめイチゴなどフルーツも考えましたが、拡大すると単に大きなイチゴにしかなりません。でも石は拡大しても石のままなのが発見でした。」


〈光の残像 - じわじわ〉 猪熊純
紙を、光や時間といった物質ではないのもを表現するメディアとして捉えた。


感熱すると色がなくなる特殊塗料が塗られた紙でできた箱型の筒に蛍光灯が光る。


時間が経ち蛍光灯は消えるが、感熱した部分は光の残像のように残る。


それもやがて時間の経過と共に消えてゆき、元通り青くなる。


猪熊純さん(右)と、スタッフの長谷川駿さん。
「この照明に完成はなく、光の残像と、ゆっくりと変わる呼吸のような変化を楽しんでもらえればと思います。」

(※紹介した全ての作品は、出品者がその知的財産権を保有しており無断で模倣することはできません)
[Each designer retain the intellectual property rights in all the works introduced here. Reproduction or imitation of these works without written permission is strictly prohibited.]

【紙のかたち展2 ふわふわ、ごろごろ、じわじわ】
会期:2017年10月6日〜12月1日
会場:株式会社竹尾 見本帖本店2F(千代田区神田錦町3-18-3

**************************
japan-architects.com 
日本の建築家・デザイナーと世界をリンク
Web : www.japan-architects.com
Twitter : @JapanArchitects 

Facebook : japanarchitects

***************
***********

Reproduction of any of these images and texts without written permission is prohibited. Copyright: japan-architects.com


05 10月, 2017

前田紀貞+白石隆治による横浜の住宅「NOSTALGHIA」

前田紀貞(前田紀貞アトリエ)+白石隆治(RS STUDIO)による横浜の住宅「NOSTALGHIA」を見学してきました。


敷地面積135m2、延床面積101m2。鉄骨造2階建て。


引いていくとこのように傾斜地の畑が広がる。横浜の、それも東横線の駅から10分程でありながら奇跡的な環境だ。


エントランス側へ。当日は外構の工事がまだ行われていてたが、ピロティの下は駐車スペースになる。


エントランスからすぐに広いワンルームのLDK空間。1階には他に小さな書斎がある。


室内には何段かのステップよって高低差が付けられている。


そして大開口の向こうには “ご近所” がない景色が広がる。




ステップはそのまま外のテラスに連続し、、、


それは周囲のランドスケープに呼応するように設えられているのだと理解できる。テラスから眺める、季節毎に移ろう景色はライブ感抜群だろう。
畑は複数の地権者が所有しており、生産緑地に指定され、広い道路に接していないなど、簡単には開発されるこはないと推測される。


2階へ上がる階段は突如黒くなる。その前に天井から垂れ下がるものは何か?と思われるだろうが、その「何これ?」が正解だそうだ。
ここに住まう子どもが「何これ?」と疑問に思い、触れ、考え、様々に想像するのだ。


黒い壁と黒いチェッカープレートの階段室を上がっていく。




2階はそのまま黒の別世界だった。開口からの明かりが差し込んではいるが、明るい1階からここへ来ると、脳がリセットされるような不思議な感覚になる。
左の隙間は「籠もり部屋」。通常であればこの分を個室に含めたいところだが、これも単調にならない住空間をつくるためだ。


廊下の奥から。壁は黒板塗料なので、子どもの自由な創作スペースでもある。
左に水回り、奥が主寝室、右が子供室。


水回りは真っ白に。


全面FRP防水で、至るところに手の込んだRが付けられている。


洗面周りもRを多用して全てFRPだ。


子供室。借景の緑が望めるいい環境。


主寝室からはバルコニーに出られる。回遊型のバルコニーで浴室や廊下からも通じている。当然子どもが走り回れるようにだ。


バルコニーからは敢えて背の高い金網を張り、1階とは異なる風景の見え方を演出した。


前田紀貞さんと、協働の白石隆治さん(RS STUDIO)は長年前田アトリエのチーフを務めていた。
「お施主さんは時間を掛けこの敷地を見つけ、我々に唯一無二のもを期待されました。ここから広がる記号化されていない景色を見て、周囲と一体化しながら建築自体も記号化されていないものを作るべきだと思いました。溶けた階段をはじめ、ステップは並行でなければ、壁は直角でなければ、廊下は真っ直ぐでなければ、などといった既成の当たり前を排除し、お子さんの記憶が熟成されてゆく最も敏感な時期に、濃密な匂いが建築自体から滲み出てくることを期待して計画しました。」

【NOSTALGHIA】
建築設計:前田紀貞アトリエ+RS STUDIO(白石隆治)
構造設計:梅沢建築構造研究所
施工:和田建築

**************************
japan-architects.com 
日本の建築家・デザイナーと世界をリンク
Web : www.japan-architects.com
Twitter : @JapanArchitects 

Facebook : japanarchitects

***************
***********

Reproduction of any of these images and texts without written permission is prohibited. Copyright: japan-architects.com




03 10月, 2017

佐野健太による新大久保の「DOMO CAFÉ」

"日本と台湾をコーヒーでつなぐ"をコンセプトとしたDOMO CAFÉ(ドウモ カフェ)が新大久保にオープンし内覧会が開催されたので行ってきました。

DOMO CAFÉは、台湾で人気のカフェと、京都の自家焙煎珈琲のお店の二つが組み合わさった、日台が融合したカフェ。インテリアデザインは元・伊東豊雄事務所でオペラハウスなどの設計に携わった建築家、佐野健太(佐野健太建築設計事務所)が手掛けた。

場所は、JR新大久保駅から徒歩約3分。大通りから路地を入った落ち着いた雰囲気の場所にある。面積は80.13㎡。

4階建て集合住宅の地下1階にある一部分がカフェだ。

店内。コンクリートの壁が部屋を真二つに分けるようにカウンターキッチンまで続いている。


コンクリート壁は動線上視界上の障害となっていたが、それをあえて二つの異なる世界をつくりだす残した要素として残した。ブランドカラーであるパステル調のピンクとグリーンをそれぞれの空間に用い、日本と台湾、深煎りと浅煎り、カジュアルな空間と落ち着いた空間、というような対称性を表現。

 
「CASUAL AREA」
一人でも気軽に立ち寄れるようなハイカウンターテーブルに、パソコン電源なども設置されているテーブル席。


壁の向こう側は「RELAX AREA」。
複数人で利用できるテーブルやソファ席などゆったり過ごすことができる。自然と会話が生まれるような空間を目指し、家具の設計や選定においては、とくに距離感を意識したという。

 
カウンター席はバーのような感覚で利用することもできる。

 
ソファ席からカウンターキッチン側の見返し。

佐野健太氏
「設計で大切にしたいと思っていることは、その空間を通じて人々の間につながりのきっかけをつくりだすことです。基本的に日本をベースに活動をしていますが、これまでのキャリアのなかで台湾とのつながりがとても深くなりました。今後も今回同様両国の掛け橋となれるようなプロジェクトに携わることができればと考えています」

**************************
japan-architects.com 
日本の建築家・デザイナーと世界をリンク
Web : www.japan-architects.com
Twitter : @JapanArchitects 

Facebook : japanarchitects

***************
***********

Reproduction of any of these images and texts without written permission is prohibited. Copyright: japan-architects.com



02 10月, 2017

藤原徹平による鎌倉「稲村の森の家」

藤原徹平/フジワラテッペイアーキテクツラボによる鎌倉「稲村の森の家」を見学してきました。江ノ電 極楽寺駅・稲村ガ崎駅より徒歩15分程の住宅地。


敷地面積479m2、建築面積94m2、延床面積184m2。鎌倉特有の山を背負った敷地で、山と住宅地の境に位置する。
宅地化可能なエリア以外に、後方に見える山を含め土地全体は4,000m2ある。鎌倉市の条例で山の維持・管理ができなければこの土地を購入できないそうで、所有すると鎌倉の風土を守る責任を負うこととなる。


敷地は更地であったが、既存の地下駐車場(右)から、大谷石の擁壁が続いていたものを左側半分を掘削し、駐車場兼ポケットパークのような役割を持たせる。
海辺→緩い坂を上る住宅街→敷地・建築→山と繋がるシークエンスの接続点として機能する。確かにここに擁壁が立ちはだかっていては、山と住宅街は分断される。


地下駐車場だった場所はトンネル状の貸しギャラリー「INAMORI」として、街に対して積極的に開く。


駐車場奥の土を掘り、穴を空けギャラリー併設の「喫茶スペース」へ通じる階段が現れる。


階段を上がると1階に暖簾の掛かる喫茶スペース。右手には縁側、そして芝も見える。
建蔽率は何と19.6%。ゆったりと建っている。

左に移動したところで全貌が露わになった。


ここで模型を見て頂くと分かりやすい。地下ギャラリーを抜けて、敷地の上へ。掘削した駐車場の土は敷地後方へ運び、山へのアプローチし易いように斜面をなだらかにした。
取り囲むような山+森から生活圏、掘削した斜面や広場、街へと連続する様子が理解できる。


奥の人がいるあたりから山への散策路も作っていく予定。右には家庭菜園作りが進行中で、既に収穫もしている。


外壁はレッドシダー。


建物は二つのボリュームが繋がったようなかたち。出窓やバルコニー、縁側、ピロティーなどなど、外へ繋がろうとするアクションが多彩だ。


ピロティーには家族用の玄関や作業場がある。"山を管理・維持” しなければならないことから、DIYや畑仕事が大好きな奥さまのお父さんがしばしば訪れ、ご主人と共に庭造りや山道の開墾を進めている。
またギャラリーの延長としてワークショップなどの開催も視野に入れている。


正面には軒と庇を設え、ギャラリーから喫茶スペースにアプローチさせる。足元は真砂土と、左に見える飛び石は擁壁に使われていた大谷石を流用した。


喫茶スペースは15席ほどの規模。右奥にキッチンがあるが生活用のキッチンでもあるので、家族が朝食をこちらでも摂るという。
天高は梁下で2m程と低め。それに合わせるようにテーブル高も低めで63cm、椅子も低く子どもたちを集めた地域のイベントなどに活用できるよう、大人用・子供用の中間の高さだ。


フロアの片隅には薪ストーブ。テーブルは台形で用途に応じて並べ方を変えられる。椅子やテーブルはフジワラボのデザインによるオリジナルだ。


窓際席からは緑を切り取る全面開口。心地良い風が吹き抜ける。


山と街の境に建つ建築の、外と内の境は絶妙に曖昧。


内覧会当日は焼きおにぎりのランチとワインをいただいた。
今のところ木〜土で週2〜3日の営業なのでチェックしてからどうぞ。


2階居住スペースへ。


2階へ上がると直ぐに水回りが現れた。


水回りは反対側にも通じており回遊型の動線をとっている。下の喫茶スペースが営業中でキッチンが使えないとき、お湯くらいは沸かせられるようにと手前にIHヒーターを備えた。
空間の中心が暗くならないようにトップライト。


2階の天高は高いところで3.5m。天井ぎりぎりまで開口を取り、山が室内に入り込んでくるようだ。

反対側は3m以上の一枚ガラス。坂を上ってくるとこの窓がこの家のシンボルとして見えてくるのだ。
遠くに湘南の海も望むことができる。


ほぼ外のように感じられるフリースペース。
これだけ山に近いと窓枠の外には蜘蛛の巣がすぐ張られる。「掃除は大変ですが、それだけ自然に近い環境で暮らしているのだと実感する。」とお施主さん。


水回りの裏は寝室。家族4人で川の字に寝ているという。子どもの成長に従って分割、或いはこの下のピロティーを改築して寝室にすることもできる。
右に見えるバルコニーは1枚上の写真で見えるバルコニーと同じなのでここも回遊動線だ。


「お施主さんは30代のご夫婦と2人のお子さん(写真は違う)。東京の下町に暮らしていましたが東日本大震災で住宅に対する考え方が変わり、100年先になっても住み続けていくような『人間のための居場所』が必要だと感じたそうです。いくつかのイメージをもって依頼され、我々はこの住宅で街と森の境界を建築化しました。住むことと人を迎えること、様々な活動が渦を巻くように同居しながら、おおらかで協同的な状況をつくりだす多言語の建築を目指しました。」と藤原徹平さんと、担当の岩井一也さん。

【INAMORI】
・神奈川県鎌倉市稲村ガ崎5-39-20
http://inamura-inamori.com/

**************************
japan-architects.com 
日本の建築家・デザイナーと世界をリンク
Web : www.japan-architects.com
Twitter : @JapanArchitects 

Facebook : japanarchitects

***************
***********

Reproduction of any of these images and texts without written permission is prohibited. Copyright: japan-architects.com